具体的法定符合説と規範的責任論
2009年 03月 06日
確認しておきますが、心理的責任論が「違法行為を意思したという心理的事実が責任」という見解だったのに対し、規範的責任論は「心理的事実を基礎として、行為者を非難できるかどうかという規範的評価が責任」という見解です。規範的責任論のメリットは、過失犯を説明できることが挙げられます。
さて、当然ですが、規範的責任論を採ったからといって、「心理的事実を完全に無視しなければならない」という命題はでてきません。むしろ、評価対象は心理的事実なのですから、全く考慮しない見解の方が規範的責任論に反するでしょう。
では、心理的事実をどこまで考慮するかといえば、規範的責任論はなんらの基準も与えてくれません。したがって、この点につきどのような見解を採ろうとも、それをもって「規範的責任論になじまない」とはいえないはずです。故意犯の客体の錯誤事例で心理的責任論と同じような結論が出たからといって、それが規範的責任論になじまないというのは飛躍しているように思われます。
タグ:具体的法定符合説
# by motaturn | 2009-03-06 18:49 | 私的メモ